非上場会社の株式を売ろうと思ったときに立ちはだかる壁

非上場会社の少数株式をこれ以上保有し続けてもメリットがないと判断した場合、その株主は、これを売却して現金化したいと考えるでしょう。しかし、非上場会社の少数株式を売却することは、容易ではありません。

 

まず、多くの場合、買主を見つけることが難しいのです。

上場株式であれば、証券取引所を通じて売却することで、不特定多数の人から買主を見つければよいのですが、非上場株式は証券取引所を通じた売却をすることができないため、自ら買主を探さなければなりません。しかし、非上場会社の少数株主となることにはメリットが乏しいため(コラム「非上場会社の少数株主の悩み(株式を所持し続けることで生じ得る問題)」参照)、これに対価を支払ってまで少数株式を買おうとする人はほとんどいないのが実情です。

 

そこで、発行会社に買い取って欲しいと申し入れる株主もいますが、現行法の下では、発行会社に、株主からの申し入れに応じる義務はないので[1]、株主の側から株式の買い取りを強制することはできません。

 

仮に運良く買主が見つかったとしても、多くの非上場会社では、会社にとって好ましくない者が株主となることを防ぐために、株式の譲渡に発行会社の承認を必要とする旨を定款に定めています。そのような会社の株式を譲渡しようとする場合は、会社に対し、譲渡について承認をするか否かの請求をした上で、会社の承認を得る必要があります。

もっとも、そのような請求をした株主は、会社が譲渡を承認しなかった場合には、会社又は会社が指定する買取人が当該株式を買い取るよう請求することもできます。

そのため、買主を見つけることができれば、株主は、上記のような譲渡承認請求及び買取請求の手続を踏むことにより、最終的には株式を売却することができることになります(詳細は別途コラムにて掲載する予定です。)。

 

また、非上場株式の株式については、そもそもいくらで売れるのかという譲渡価額も問題となります。

非上場株式は、非上場であるがゆえ、取引市場における相場というものがありません。そこで、譲渡に際しては、適正な価額を設定するために株式の客観的価値を算定する必要がありますが、非上場株式の価値算定については様々の方法があるため、一義的に決まるものではありません。また、譲渡価額が高すぎたり安すぎたりすると、税の負担を生じさせることもあるため、慎重に行う必要があります。

 

以上のように、非上場株式の株主にとっては、所有している株式を売却して現金化しようとしても、そもそも買主を見つけることが難しいという問題があり、また、株価の算定といった壁が立ちはだかることにもなります。

 

このような問題に対応するには、弁護士をはじめとする専門家のサポートを受けることが株主の方々の一助となるかと思います。

[1] 後述のように、買主を見つけた上で発行会社に対して譲渡の承認を求めたものの、会社がこれを承認しなかったような場合には、会社又は会社が指定する買取人が当該株式を買い取るよう請求することができます。