牛島総合法律事務所
少数株式専門チーム

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非上場会社少数株主の置かれた状況

1. 非上場会社の一般的状況‐コーポレート・ガバナンスの不存在‐

日本の企業の99.7%は中小企業であり(2016年時点)、日本の株式会社に占める非上場会社の割合は約99.8%であるとされているとおり、日本の企業の多くは非上場の同族会社です。

ところが、ほとんどの非上場の同族会社にはコーポレート・ガバナンスがなく、経営者が公私混同して会社の費用で贅沢な生活を送ったり、株主への配当を行わずに家族を役員にして多額の役員報酬を支払ったりということがしばしば行われます。

株式会社には、社員の有限責任、税務上のメリットといった特権が認められていますが、これは、株式会社が社会の役に立っているからこそです。しかしながら、非上場の同族会社の経営者は、これらの特権を社会のためでなく自身の私利私欲のために使っているのです。このような特権の濫用がまかり通っているのは、非上場会社のコーポレート・ガバナンスに関する議論がこれまでなされてこなかったからであり、その結果、非上場会社の少数株主が不公平に扱われるという状況が長年続いてきました。

2.「株を捨てたい」のに手放せない少数株主の窮状

非上場会社の少数株主は、不公平に扱われるのみならず、巨額の税負担の恐怖に晒されており、保有しているだけでリスクを常に負っています(詳細は非上場会社の少数株式についての理不尽さをご覧ください。)。実際、一族で約42%の株式を保有するものの経営に関与していない株主の方から、「株を捨てたい」という痛切な悩みのご相談があったこともありました。

株を捨てるくらいなら売ればよいではないかと思われるかもしれませんが、通常、非上場会社の少数株式を売却することはできません。なぜなら、非上場会社の株式は買い手が現れないのが現実だからです。法律上は、買い手さえ見つかれば、非上場会社の株式を売却することが可能ですが、買い手がいないことをいいことに、経営陣は公私混同を続け、少数株主を虐げ続けているというのが現状です。

3. 当事務所が考える非上場会社のガバナンス論‐非上場会社の株式に流動性を‐

経営陣による公私混同を止めさせるにはどうしたらよいか。私たちは、非上場会社の株式に流動性を持たせるべき、つまり、簡単に売却できるようにすべきと考えています。そもそも、会社の株式を買うことは、会社に出資することを意味しますが、法律上、会社への出資の払戻は原則として認められず、株主は、株式を売却することによってしか投下資本を回収することができません。しかしながら、非上場会社では、株式を売却することが事実上不可能であるため、株主は一度出資をすると、配当を受けることも出資の払戻を受けることもできず、単なる紙切れを持っているも同然の状態になってしまうのです。

もし、非上場会社の株式に流動性があれば、株主が絶えず交代し、株主による経営の監視が行われる契機となります(たとえば、アクティビストが利益剰余金の配当(増配)を求めたり、社外取締役の選任を求めたりするということが考えられます。)それによって、非上場会社の経営は「正常化」していくと考えられますし、もし経営陣が「正常化」したくないのであれば、適切な金額で少数株式を買い取るべきです。

私たちは、これこそが将来の非上場会社のガバナンスのあるべき姿と考えており、そのような法制度の実現へ向けて非上場会社の少数株主の地位改善に日々取り組んでいます。